国際原子力機関(IAEA)は、ALPS※1処理水のモニタリングを実施する東京電力の能力を検証するため、2022年から分析機関間比較※2を実施しています。
7月17日、IAEAが実施する分析機関間比較のために、東京電力は、東京電力福島第一原子力発電所構内において、IAEA関係者の立会いの下で、測定・確認用タンク※3から海水希釈前のALPS処理水の採取を行いました。
今回の分析機関間比較は、2025年3月に報告書が公表されたALPS処理水の放射性核種分析における第3回の分析機関間比較に続き、4回目となります。今回採取されたサンプルは、今後、IAEA及び韓国、スイス、中国、フランスの分析機関において、放射性物質の分析が行われる予定です。
注釈
※1.ALPS
ALPSとは、Advanced Liquid Processing Systemの略で、様々な放射性物質を取り除いて浄化する「多核種除去設備」のことです。ALPSは、トリチウム※以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで十分浄化することができる性能を持っており、その性能を安定して発揮しています。
※トリチウム:トリチウムは水素の仲間(三重水素)で、日々自然に発生しているものです。そのため、水道水や雨水、私たちの体の中にも含まれており、「自然界にも広く存在する放射性物質」です。トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができます。
出典:みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと(METI/経済産業省)
出典:資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ:「トリチウム」とはいったい何?
【多核種除去設備(ALPS)】
写真:資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ:「ALPS処理水」とは何?
※2. 分析機関間比較
※3.測定・確認用タンク
前回(第3回)の分析機関間比較
分析機関間比較における主な結果は、以下のとおりです。
- 東京電力は高い技術的能力を実証する、正確な結果を報告した。
- 東京電力のサンプル採取手順は、代表的なサンプルを得るために必要で適切な方法論的基準に従っている。
- 東京電力が採用した様々な核種に対する分析方法は、適切で目的にかなったものであり、ALPS処理水に含まれる可能性があると東京電力が想定する全ての核種について、報告された検出限界値は各々の規制基準の1%未満であった。
1.から3.の結果は、東京電力が信頼できる、質の高いALPS処理水のモニタリングを実施する能力を有していることを確信させるものであること、IAEAによる観察に基づき、東京電力が、ALPS処理水の放出中における東京電力福島第一原子力発電所での現在の技術的ニーズを支えるための持続可能で堅固な分析システムを構築していることを実証した旨、結論づけられています。