地球温暖化対策の推進に関する法律(以下「法」)第 27 条における、「権利利益が害されるおそれの有無の判断に係る審査基準」について、所要の改正が行なわれました。
なお当該改正は、行政手続法第 39 条第4項第8号に該当するため、意見公募手続きは実施されておりません。
公示の内容
法第27条第1項に規定する「報告に係る温室効果ガス算定排出量の情報が公にされることにより、当該特定排出者の権利、競争上の地位その他正当な利益(以下「権利利益」)が害されるおそれ」の有無の判断に係る行政手続法の審査基準は、次のとおりである。
(1)「権利利益(権利、競争上の地位その他正当な利益)」
「権利」とは、一般に、事業者の財産権等法的保護に値する権利一切を指す。
「競争上の地位」とは、法第27条第1項の規定に基づく権利利益の保護に係る請求を行う特定排出者(以下「請求排出者」)の公正な競争関係における地位を指し、具体的には、製造、販売等において他社に優る地位など、様々なものがある。
「その他正当な利益」とは、ノウハウ、信用等事業者の運営上の地位を広く含み、法令上又は社会通念上保護されることが相当である当該請求排出者の利益を指す。
いずれにせよ、「権利利益」の具体的内容を、請求書中の「請求の理由」の記載等から十分に把握し、明確にする必要がある。
(2)「公にされることにより、権利利益が害されるおそれ」
「公にされること」とは、法第29条第1項及び第3項の規定に基づく公表の対象とすることにより、何人も知り得る状態になることを指す。
「害されるおそれ」があるか否かの判断に当たっては、請求排出者が行う事業活動には様々な種類、性格のものがあり、その権利利益の態様にも様々なものがあるので、請求に係る温室効果ガスである物質が排出される活動や請求排出者の権利利益の内容、当該温室効果ガスの排出の具体的な態様等に応じ、権利利益の侵害の具体的な事情、競争事情等を十分に考慮して、画一的、一律にならないよう留意し、慎重に判断する必要がある。
例えば、報告に係る温室効果ガス算定排出量の情報が通常一般に入手可能な状態にある場合又は通常一般に入手可能な情報から当該報告に係る温室効果ガス算定排出量の情報を容易に推測可能な場合には、「公にされることにより、権利利益が害されるおそれ」がないものと判断される。
他方、報告に係る温室効果ガス算定排出量の情報自体が公にされることにより、請求排出者の権利利益が直接害されるおそれはないとしても、他の通常一般に入手可能な情報と照合することによって、当該請求排出者の権利利益が害されるおそれがあるとして秘匿すべき情報(以下「秘匿すべき情報」)が容易に推測可能な場合には、「公にされることにより、権利利益が害されるおそれ」があるものと判断される。
他の通常一般に入手可能な情報と照合することによって、当該請求排出者の権利利益が害されるおそれがあるとして秘匿すべき情報に該当する可能性のあるものの例は以下のとおりである。ただし、本例は一般的な例を想定したものに過ぎず、秘匿すべき情報に該当するか否かは、個々の情報の内容、性質等、個別の事情を総合的に勘案し、画一的、一律にならないよう留意し、慎重に判断する必要がある。
・ 製造工程、製造方法その他の生産・管理のプロセスに関する秘密の情報であって、公にすることにより当該情報が競争相手等に知られ、正当な利益を害する蓋然性が高いもの
・ 原燃料構成、設備設計その他の製品・生産技術に関する秘密の情報であって、公にすることにより当該情報が競争相手等に知られ、正当な利益を害する蓋然性が高いもの
・ その他生産、技術等に関する秘密の情報であって、公にすることにより権利利益を害する蓋然性が高いもの なお、この「害されるおそれ」は、単なる確率的な可能性ではなく、法的保護に値する蓋然性であることが求められる。
スケジュール
【公布】2025年5月16日
出典
〇e-GOV>「地球温暖化対策の推進に関する法律第27条における権利利益が害されるおそれの有無の判断に係る審査基準」について