法令改正

公布「省エネ法等の改正」(非化石エネルギーへの転換促進等)

法令改正
この記事は約6分で読めます。

 

2022年5月20日「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布された。一部の規定を除き、2023年4月1日から施行される。

改正の概要

日本で使用されるエネルギーの大部分は化石燃料が占めているが、「2050年カーボンニュートラル」に向け、非化石エネルギーの利用の必要性が増大していることから、エネルギー需給構造の見直しを後押しするとともに、安定的なエネルギー供給の確保のための制度整備が必要となっている。

このことから、「非化石エネルギーへの転換に関する所要の措置」「電気の需要の最適化に関する措置」、その他エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等を総合的に進めるために必要な措置等を講ずるもの。

 

1.省エネ法の改正 ※需要構造の転換

(1)エネルギーの定義の見直し

  • エネルギーの使用の合理化(エネルギー消費原単位の改善等)の対象に、非化石エネルギーを追加
省エネ法の目的は、燃料資源の有効な利用の確保のための化石エネルギーの使用の合理化です。このため、太陽光由来の電気や、バイオマス、水素・アンモニアといった非化石エネルギーは、省エネ法上の「エネルギー」の定義に該当せず、使用の合理化の対象外となっていました。近年、太陽光発電などの再エネの普及拡大や、水素・アンモニアのエネルギーとしての利用の拡大など、供給側の非化石化が進展。非化石エネルギーは、環境適合性が高く、需要側での活用を促すべきものだが、例えば、水素・アンモニアは、資源豊富な海外から調達することが必要であるため、一定の供給制約があり、需要サイドでの効率的な利用が不可欠

 

(2)非化石エネルギーへの転換に関する措置(新設)

  • 特定事業者等に対して、非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画・非化石エネルギー利用状況等の定期報告の提出を義務付ける(非化石エネルギーへの転換を促進)

 

(3)「電気需要最適化」に関する措置

  • 太陽光発電等の変動型再エネの普及拡大により、一部地域では再生可能エネルギー電気の出力制御が実施されるなど、再生可能エネルギーの余剰電力が生じることがある
  • この様な背景から、再エネ出力制御時の電気需要量の増加(需要をシフト:上げDR)や、需給逼迫時の電気需要量の抑制(需要減少:下げDR)を促すため、現行の「電気の需要の平準化」を「電気の需要の最適化」に見直し、電気を使用する事業者に対する指針の整備等を行う
DR:ディマンドリスポンスの略。需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させること。需要制御のパターンによって、需要を減らす(抑制する)「下げDR」、需要を増やす(創出する)「上げDR」の二つに区分される。
(出典)資源エネルギー庁「VPP/DRとは」
  • 電気事業者に対し、電気需要最適化に資するための措置に関する計画(電気の需要の最適化に資する取組を促すための電気料金の整備等に関する計画)の作成等を義務付ける

(4)法律名の変更

  • 旧「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」→新「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」

 

2.エネルギー供給構造高度化法 ※供給構造の転換

  • 水素・アンモニア等の脱炭素燃料の利用促進
    • 位置づけが不明瞭であった「水素・アンモニア」を非化石エネルギー源として位置付け、利用を促進する(エネルギー供給事業者に水素・アンモニアを含めた非化石エネルギー源の利用に関する計画の作成を求める。石油精製事業者に対して、精製プロセスへの水素の導入やアンモニア混焼といった脱炭素燃料の使用を含めた計画の作成を求める)
  • CCSの利用促進
    • 火力発電であってもCCSを備えたもの(CCS付き火力)を法律上に位置付け、その利用を促進する(電気事業者が作成することが義務付けられている計画にCCS付き火力発電の利用を記載できることとする)
  • 法律名の変更
    • 旧「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」→新「エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」

※CCS:Carbon dioxide Capture and Storage(二酸化炭素を回収・貯蔵すること)
(出典)資源エネルギー庁「知っておきたいエネルギーの基礎用語」

 

3.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(JOGMEC法)※供給構造の転換

  • 再生可能エネルギーの導入促進
    • JOGMECの業務に、「洋上風力発電のための地質構造調査等」を追加
    • JOGMECの出資業務の対象に、「海外の大規模地熱発電等の探査事業(経済産業大臣の認可が必要)」を追加
  • 水素・アンモニア等の脱炭素燃料の利用促進
    • JOGMECの出資・債務保証業務の対象に、「水素・アンモニア等の製造・貯蔵等」を追加
  • CCSの利用促進
    • JOGMECの出資・債務保証業務の対象に、CCS事業及びそのための地層探査」を追加
  • レアアース・レアメタル等の権益確保
    • JOGMECの出資・債務保証業務の対象に、国内におけるレアメタル等の選鉱・製錬」を追加(海外からの資源供給リスク低減や使用済製品等に含まれる有用資源の循環を推進に国内製造業への金属材料の安定供給を実現)
  • 法律名の変更
    • 旧「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法」→新「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法」
JOGMECとは、正式名称を「独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構」といい、資源・エネルギーを安定的、永続的に供給していくために、地方公共団体、企業と連携して、日本の産業の発展と国民生活の向上に貢献している経済産業省所管の独立行政法人。
(出典)JOGMEC

4.鉱業法

  • 鉱業権の対象となる鉱物に「レアアース」を追加し、経済産業大臣の許可がなければ採掘等ができないこととする

 

5.電気事業法 ※安定的なエネルギー供給の確保

  • 必要な供給力(電源)の確保
    • 発電所の休廃止が増加し、安定供給へのリスクが顕在化している状況を踏まえ、発電所の休廃止について事前に把握・管理し、必要な供給力確保策を講ずる時間を確保するため、発電所の休廃止について、「事後届出制」を「事前届出制」に改める
    • 脱炭素社会での電力の安定供給の実現に向けて、経済産業大臣と広域的運営推進機関が連携し、国全体の供給力を管理する体制を強化する
  • 電力システムの柔軟性向上
    • 「大型蓄電池」を電気事業法上の「発電事業」に位置付け、系統への接続環境を整備する

 

スケジュール

【公布】2022年5月20日
【施行】一部の規定を除き、2023年4月1日

 

出典

○経済産業省 >「安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました

○ 経済産業省 > 省エネルギー小委員会

タイトルとURLをコピーしました